皆様こんにちは。エタックの佐藤です。
今回は温度サイクル試験器(熱衝撃試験器)の「試料温度制御」のご紹介です。
温度サイクル試験をする時、試験器のコントローラに表示されている温度の変化は速いけど、試験器の中にあるサンプルの温度は変化が遅いということはないでしょうか。
エタック温度サイクル試験器 WINTECH の「試料温度制御」を使用すると、通常の制御より早くサンプルの温度を変化させることができます。
まず左のグラフは、槽内にあるセンサで取り込んだ空気の温度変化を表しています。
ここでの試験条件は、
「低温:-40℃」「高温:+85℃」です。
続いて左のグラフは、槽内にあるサンプルの温度変化を表しています。
重ねてみると、空気温度よりサンプルの温度の方が、遅れて変化していることがわかります。
もしサンプルが熱負荷の大きい金属の場合、さらにサンプルのサイズが大きい場合、設定した温度に到達しないままサイクルが進むことがあり得ます。
このような事がないように、皆様は条件出しをして「設定温度」や「さらし時間(保持時間)」を変えているかもしれません。
この条件出しの手間を省くことができるのが WINTECH の「試料温度制御」です。
「試料温度制御」を使うと、試験器槽内の空気温度は-40℃ではなく-50℃に向かって下がっていきます。そうすると、さきほどよりもサンプル温度は速く下がっていきます。
(この-50℃は固定値ではなく、事前の設定で変更することができます。)
しかしこのままでは、サンプル温度はいずれ-50℃になってしまいますが、試験条件は-40℃だったはずです。
サンプル温度は-40℃を下まわりたくないので、途中で空気温度を上昇させ、サンプル温度が-40℃になるように制御します。
結果、標準制御と試料温度制御を比較すると、試料温度制御の方が早く温度復帰していることがわかります。
サイクルが進めば進むほど、試験時間を短縮することができるというわけです。
設定は簡単です。
1.付属の熱電対をサンプルに貼り付けます。
2.基本設定画面で試験条件を入力します。
3.試料温度制御設定画面で、「さきほどの-50℃」と「試験条件-40℃」の差に相当する温度「冷却⊿(冷却デルタ)-10℃」を入力します。
4.高温側の設定も同様です。
試験開始です。
この「試料温度制御」機能の大きな特長は、試験器槽内の制御センサをただ伸ばしてサンプルに貼り付けただけではないという点にあります。
ただし、全てのサンプル、全ての試験条件、に適しているわけではないので効果を発揮できるかどうかは、エタック担当営業までご相談ください。
Time is マネー。温度サイクル試験の時間を短縮されたいお客様からのお問い合わせをお待ちしております。